アメリカの401(k)は日本帰国後どうなる?日本での受け取り・税金・口座の扱いを解説

アメリカで長く働いていると、401(k)にある程度まとまったお金が貯まっている人も多いと思います。

そこで日本への帰国が決まったときに気になるのが、

「401(k)のお金はどうすればいいの?」
「日本に帰る前に全部引き出したほうがいい?」
「そのままアメリカに残しておける?」

という問題です。

せっかく長い時間をかけて積み立ててきた老後資金ですから、帰国するからといって慌てて動かす必要はありません。

401(k)は、勤務先のプランのルールによっては、退職して日本へ帰国した後もアメリカに残して運用を続けられる場合があります。そして、将来日本に住みながら受け取ることも可能です。

ただし、ここで少し難しくなるのが税金です。

何歳で引き出すのか、日本へ帰国する前なのか後なのか、どのような形で受け取るのかによって、確認すべきことが変わってきます。

この記事では、アメリカで積み立てた401(k)について、日本帰国後もそのまま持っていられるのか、日本からどうやって受け取るのか、税金はどう考えればいいのかを、できるだけ分かりやすく説明していきます。

401(k)の基本的な仕組みや会社のマッチ制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 「アメリカの401(k)とは?日本人向けに仕組み・会社マッチ・帰国時の扱いまでわかりやすく解説」

アメリカの401(k)は、日本へ帰国したらどうなる?

日本へ帰国することになったら、

「401(k)のお金も全部引き出さないといけないの?」

と思う人もいるかもしれません。

でも、必ずしもそうではありません。

401(k)は会社を辞めたからといって、その日に口座がなくなってしまうものではありません。勤務先の401(k)プランによっては、退職後もお金をそのまま口座に残して、運用を続けられる場合があります。

つまり、

アメリカを離れる=401(k)をすぐに現金化する

ではないということです。

ただし、ここは会社の401(k)プランによってルールが違います。残高などの条件によっては、そのまま残せず、別の退職口座への移動などが必要になることもあります。

そのため帰国が決まったら、まず勤務先の担当者や401(k)を管理している金融機関に、

「日本へ帰国した後も、この401(k)をそのまま維持できますか?」

と確認しておきましょう。

 

帰国するときの主な3つの選択肢

401(k)を持ったまま日本へ帰国するときは、大きく分けると次のような選択肢があります。

① 401(k)にそのまま残す

勤務先のプランが認めていれば、退職後も401(k)にお金を残して運用を続ける方法があります。

すぐにお金を使う予定がなければ、慌てて引き出さず、老後資金としてそのまま運用を続けるという考え方です。

② IRAへ移す

401(k)のお金をIRA(個人向けの退職口座)へ移す方法もあります。

このように401(k)などの退職口座から別の退職口座へお金を移すことを、ロールオーバー(Rollover)と呼びます。

簡単にいえば、

「401(k)に入っている老後資金を、別の老後資金用の口座へ引っ越す」

ようなイメージです。

条件を満たす方法でロールオーバーすれば、その移動だけですぐ所得税が発生するとは限りません。

ただし、日本へ帰国してからIRAを新しく作ろうとすると、金融機関によっては日本居住者の口座開設を受け付けていないことがあります。また、すでに持っている口座でも、日本の住所へ変更すると利用できるサービスが制限される場合があります。

そのため、401(k)からIRAへの移動を考えている人は、帰国する前に金融機関へ確認しておくのがおすすめです。

IRAの仕組みやTraditional IRAとRoth IRAの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 「アメリカのIRAとは?Traditional IRAとRoth IRAの違いを日本人向けにわかりやすく解説」

③ 401(k)のお金を引き出す

もう一つは、401(k)を現金化して受け取る方法です。

ただし、

「日本へ帰るから、とりあえず全部引き出してしまおう」

と急いで決めるのはおすすめできません。

401(k)は老後のための制度なので、年齢や受け取り方によって所得税や追加税が発生する可能性があります。

さらに日本へ帰国した後に受け取る場合は、日本側の税金についても確認が必要になります。

そのため、現金化する前に、「いつ・どこに住んでいるときに・どのように受け取るか」を考えることが大切です。

下記に詳しく説明します。

 

帰国するときに401(k)を全部引き出してもいい?

日本へ帰ることが決まると、

「アメリカの口座は整理したいから、401(k)も全部引き出してしまおう」

と考える人もいるかもしれません。

もちろん、条件を満たせば401(k)のお金を受け取ることはできます。

ただし、ここで気をつけたいのが税金です。

401(k)はもともと老後のためにお金を貯める制度なので、一般的に59歳半より前に引き出すと、通常の所得税に加えて10%の追加税がかかることがあります。

なお、401(k)では、55歳になる年以降にその勤務先を退職した場合など、59歳半より前でも10%の追加税がかからない例外があります。

すべての早期引き出しに10%がかかるわけではありません。(Internal Revenue Service)

たとえば、401(k)に$50,000貯まっていたとします。

「$50,000を引き出せば、そのまま$50,000が銀行口座に入る」

とは限りません。

受け取り方によっては税金が差し引かれたり、あとから追加で税金を支払ったりする可能性があります。

そのため、

帰国する=401(k)を全部引き出す

と考えるのではなく、

「今、本当にこのお金が必要なのか?」

を一度考えてから決めるのがおすすめです。

すぐに使わないなら、そのまま残す方法もある

401(k)のお金を日本への引っ越し費用や生活費として使いたい人もいるでしょう。

一方で、すぐに使う予定がないのであれば、勤務先のプランが認めている限り、401(k)に残して運用を続けるという選択肢もあります。

また、条件が合えばIRAへ移す方法もあります。

特にロールオーバーを考える場合は、いったん自分でお金を受け取るのではなく、401(k)からIRAなどへ直接移すDirect Rollover(直接ロールオーバー)という方法があります。

IRSによると、対象となる401(k)のお金を本人が直接受け取る場合、通常20%の源泉徴収が行われます。一方、対象資金を別の退職口座へ直接ロールオーバーする場合、この20%の強制源泉徴収は通常ありません。(Internal Revenue Service)

簡単にいえば、

「現金として受け取るのか、それとも老後資金のまま別の箱へ移すのか」

では、税金の扱いが違うことがあるということです。

 

日本で401(k)を受け取るときの税金はどうなる?

日本へ帰国した後に401(k)を受け取るとき、一番気になるのが税金だと思います。

ここで知っておきたいのが、日本とアメリカの間には「日米租税条約」というルールがあることです。

これは簡単にいえば、

「同じ所得に対して、日本とアメリカの両方から不必要に税金を取られないようにするための約束」

です。

日米租税条約では、民間企業で働いていた人が受け取る年金などについて、原則としてその人が住んでいる国で課税するというルールがあります。米国側の解説では、この「年金など」には毎月受け取る年金だけでなく、一括で受け取る場合も含まれています。

そのため、アメリカを離れて税務上も日本の居住者となり、米国では非居住者になった人が401(k)を受け取る場合、日米租税条約によってアメリカでの課税が免除され、日本で課税されるケースがあります。

ただし、誰にでもこの扱いがそのまま当てはまるわけではありません。

たとえば、アメリカ市民や、米国税務上の居住者として扱われる人は、帰国後もアメリカの申告や税金が関係することがあります。

つまり、

「日本へ帰国したら401(k)の税金は必ず○%」

と一つの数字で説明することはできません。

自分が日本とアメリカのどちらの税務上の居住者になるのかを確認することが、とても大切です。

日本側では、海外勤務に基づく一定の外国年金は「公的年金等に係る雑所得」として扱われる場合があります。

ただし、401(k)を一括で受け取った場合など、受取方法によって所得区分の判断が必要になることがあります。

大きな金額を受け取る場合は、日米の退職口座に詳しい税理士などへ確認すると安心です。

W-8BENって何?

日本へ帰国し、米国税務上の非居住外国人(Nonresident Alien)として401(k)を受け取る場合、401(k)の管理会社からForm W-8BENの提出を求められることがあります。

名前は難しそうですが、簡単にいえば、

「私は米国税務上の外国人で、日本の居住者です」

という自分の税務上の立場を金融機関へ伝えるための書類です。

アメリカでは、外国人への退職プランからの支払いについて、必要な書類がない場合、原則30%の源泉徴収が必要になることがあります。

一方、有効なW-8BENなどを提出して租税条約の適用を受けられれば、より低い税率や免税が適用される場合があります。

ただし、

W-8BENを提出すれば誰でも税金がゼロになる

という意味ではありません。

また、アメリカ市民などのU.S. Personは通常W-8BENを使いません。

自分がどの書類を提出するのか分からない場合は、401(k)の管理会社へ確認しましょう

日本へ帰る前にやっておきたいこと

実は税金と同じくらい大切なのが、401(k)に日本からアクセスできる状態にしておくことです。

帰国してから、

「ログインすると認証コードが昔のアメリカの電話番号に送られてしまう」

「日本の住所へ変更する方法が分からない」

となると面倒です。

帰国前に401(k)の管理画面へログインして、登録情報を一度確認しておきましょう。

確認しておきたいのは、

  • 日本へ帰国した後も口座を残せるか
  • 日本の住所や電話番号を登録できるか
  • 日本からログインできるか
  • お金を受け取るときにどのような方法が使えるか
  • 日本の銀行へ送金できるか
  • 必要になる税務書類は何か

などです。

特に、アメリカの電話番号を解約する前にログイン方法を確認しておくのがおすすめです。

会社が入れてくれたお金も確認しておこう

401(k)では、自分が積み立てたお金に加えて、会社がお金を出してくれるEmployer Match(会社マッチ)がある場合があります。

ただし、会社が入れてくれたお金を、退職時に必ず全額もらえるとは限りません。

会社によっては、

「○年以上働いたら会社拠出分を100%受け取れる」

といったルールがあります。

これをVesting(ベスティング)といいます。

たとえば、もう数か月働けば会社からの拠出分をより多く受け取れるケースなら、退職する時期によって受け取れる会社拠出分が変わることがあります。

日本への帰国日や退職日を決める前に、自分の401(k)のVesting状況も確認しておきましょう。

そのまま運用するなら、中身も確認してみよう

401(k)を日本へ帰国した後も残すことにしたら、口座の中で何に投資しているのかも確認してみましょう。

401(k)のお金は、ただ口座に置かれているのではなく、株式や債券などに投資するファンドで運用されていることが多いです。

たとえば、

「あと10年以上使う予定がない老後のお金」

と、

「数年後に使う予定のお金」

では、同じ運用方法が合うとは限りません。

もちろん、将来株価が上がるか下がるかは誰にも分かりません。

大切なのは、

「この401(k)のお金を、自分はいつ使う予定なのか?」

を考えることです。

また、日本へ住所を変更すると、金融機関によっては投資商品の変更などに制限がかかる場合もあります。

帰国前に、日本居住後もどこまで口座を操作できるのかを確認しておくと安心です。

まとめ|帰国するからといって、急いで401(k)を動かさなくてもいい

日本への帰国が決まっても、401(k)をすぐに全部引き出さなければならないわけではありません。

勤務先のプランによっては、そのまま401(k)に残して運用を続けることもできますし、条件が合えばIRAへ移す方法もあります。

そして、一番気をつけたいのが「とりあえず帰国前に全部現金化してしまおう」と急いで決めないことです。

特に59歳半より前の引き出しでは、通常の所得税に加えて10%の追加税がかかる可能性があります。

例外もあるため、自分のケースを確認することが大切です。(Internal Revenue Service)

まずは401(k)の管理会社に、

「日本へ帰国した後も口座を維持できますか?」

と確認してみましょう。

そのうえで、

そのまま残す → IRAへ移す → お金を受け取る

という選択肢を比べて、自分に合った方法を考えれば大丈夫です。

401(k)は長い時間をかけて積み立ててきた大切な老後資金です。

帰国するからといって慌てて動かさず、税金や受け取り方法を確認してから決める。

これが一番大切なポイントです。

 

 

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