アメリカで会社員として働いていると、年が明けてから勤務先から「W-2」という書類が届きます。
初めて見ると、
「数字がたくさん並んでいて、どこを見ればいいの?」
「Pay Stubとは何が違うの?」
「Tax Returnでは、どの数字を使うの?」
と戸惑うかもしれません。
でも、すべてのBoxを細かく理解する必要はありません。
まず押さえたいのは、
- Box 1:税金計算のもとになる給与
- Box 2:すでに給与から引かれた連邦所得税
- Box 12:401(k)やHSAなどの情報
- Box 15〜17:州税の情報
このあたりです。
W-2は、日本でいう「源泉徴収票」に近い書類です。
Tax Returnでは、基本的にW-2に書かれている数字をそのままTaxソフトへ入力していきます。
アメリカのW-2とは?
W-2の正式名称は「Form W-2, Wage and Tax Statement」です。
簡単にいうと、
「この会社から1年間いくら給料をもらい、税金をいくら天引きされたか」
をまとめた書類です。
会社員として働いている人なら、基本的に勤務先から発行されます。
会社を年の途中で転職した場合は、勤務した会社ごとにW-2を受け取ることがあります。
例えば、
1月〜6月:A社
7月〜12月:B社
で働いた場合、A社とB社の両方からW-2を受け取る可能性があります。
Tax Returnでは、すべてのW-2を申告します。
👉 関連記事:アメリカの確定申告(Tax Return)とは?在米日本人向けにやり方・期限・必要書類を解説
Pay StubとW-2は何が違う?
ここは最初に理解しておくと分かりやすいです。
Pay Stub=毎回の給料明細
W-2=1年間の給与と税金をまとめた書類
です。
例えば、2週間ごとに給料をもらっている場合、1年間で何枚ものPay Stubを受け取ります。
W-2は、それらを年間単位でまとめたイメージです。
ただし、401(k)や健康保険など税引前の控除があるため、
Pay StubのGross Payを単純に合計した数字とW-2のBox 1が一致しない
こともあります。
これは必ずしも間違いではありません。
👉 関連記事:アメリカの給料明細の見方|Gross Pay・Net Pay・税金・401(k)を初心者向けに解説
W-2を受け取ったら、まず名前とSSNを確認
W-2の上の部分には、自分と勤務先の情報が書かれています。
主に確認したいのは、
- 自分の名前
- Social Security Number
- 住所
- 会社名
- 会社のEIN
です。
特に名前とSocial Security Numberは重要です。
間違いがあった場合は、そのまま自己判断で数字を直してTax Returnをするのではなく、まず勤務先のPayrollやHRへ確認しましょう。
必要に応じて、修正版のW-2(W-2c)が発行されます。
Box 1|税金計算のもとになる給与
Box 1には、
Wages, tips, other compensation
と書かれています。
簡単にいうと、連邦所得税を計算するときに使われる給与です。
ここはTax Returnで特に重要な数字です。
年収とBox 1が違っていてもおかしくない
例えば、
年収:$80,000
Traditional 401(k)への拠出:$5,000
だったとします。
この場合、Box 1が単純に$80,000になるとは限りません。
Traditional 401(k)など、税引前で給与から差し引かれるものがあるためです。
つまり、
Box 1=会社からもらった総額
とは限りません。
「年収と数字が違う!」
と慌てる必要はありません。
401(k)についてはこちらで詳しく解説しています。
👉 関連記事:アメリカの401(k)とは?日本人向けに仕組み・会社マッチ・帰国時の扱いまでわかりやすく解説
Box 2|すでに払った連邦所得税
Box 2は、
Federal income tax withheld
です。
これは1年間に給料から天引きされた連邦所得税の合計です。
例えば、
Box 2:$7,000
なら、その年に給与から$7,000のFederal Income Taxがすでに引かれたということです。
Tax Returnでは、年間の最終的な税額を計算し、この源泉徴収額などと精算します。
払いすぎていればRefund(還付)になる可能性があり、不足していれば追加で税金を払うことがあります。
そのため、
Box 2が大きい=税金を損している
とは限りません。
最終的にはTax Returnで確認します。
👉 関連記事:アメリカの確定申告(Tax Return)とは?在米日本人向けにやり方・期限・必要書類を解説
Box 3・4|Social Security
Box 3は、
Social Security Wages
です。
Social Security Taxの対象になった給与が書かれています。
Box 4は、
Social Security Taxとして実際に給料から引かれた金額
です。
Box 1とBox 3の数字が違うことがありますが、それだけで間違いとは限りません。
例えば、Traditional 401(k)への拠出はBox 1を減らしても、Social Security Taxの計算では扱いが異なる場合があります。
Social Securityは将来の退職給付などにつながる制度です。
日本へ帰国した後のSocial Securityについてはこちらで詳しく説明しています。
👉 関連記事:日本帰国後もアメリカのSocial Securityは受け取れる?受給条件・税金・注意点を解説
Box 5・6|Medicare
Box 5は、
Medicare Wages and Tips
です。
Medicare Taxの対象になった給与が書かれています。
Box 6は、
給与から引かれたMedicare Tax
です。
ここもBox 1と同じ数字になるとは限りません。
Taxソフトを使う場合は、W-2に書かれている数字をそのまま入力するのが基本です。
自分で計算し直す必要は通常ありません。
Box 7〜11|多くの人は空欄でも問題なし
Box 7〜11は、該当する人だけ数字が入ることが多い欄です。
例えば、
- Box 7:会社へ報告したチップ
- Box 8:Allocated Tips(会社側が割り当てたチップ)
- Box 10:Dependent Care Benefit(子どもや扶養家族のケア費用に使える福利厚生)
- Box 11:一部のNonqualified Plan(会社が一部の従業員向けに用意する、一般的な401(k)とは別の報酬・退職金制度)
などです。
レストランなどでチップを受け取っている人は、Box 7や8を確認しておきましょう。
一方、一般的な会社員では空欄になっているBoxも珍しくありません。
空欄だから問題がある、という意味ではありません。
Box 12|401(k)やHSAなどを見る重要な場所
初心者にとって少し分かりにくいのがBox 12です。
ここには、
アルファベットのコード+金額
が書かれています。
例えば、
D $6,000
のような形です。
コードによって意味が違います。
代表的なものは次のとおりです。
| Code | 主な意味 |
|---|---|
| D | Traditional 401(k)などへの給与天引き拠出 |
| AA | Roth 401(k)への拠出 |
| W | HSAへの一定の拠出 |
| DD | 雇用主提供の医療保険コスト |
すべてのコードを暗記する必要はありません。
自分のW-2に表示されているコードだけ確認すれば十分です。
Code D|401(k)への拠出
Box 12にCode Dがある場合、401(k)への給与天引き拠出が記録されています。
例えば、
D $5,000
なら、その年に対象となる401(k)へ$5,000拠出したことを表します。
重要なのは、この$5,000を見て、
「Tax Returnでもう一度$5,000を控除しよう」
としないことです。
Traditional 401(k)への給与天引き拠出は、通常すでにW-2の給与計算に反映されています。
401(k)について詳しく知りたい方はこちら。
👉 関連記事:アメリカの401(k)とは?日本人向けに仕組み・会社マッチ・帰国時の扱いまでわかりやすく解説
Code W|HSAを使っている人は確認
HSAを利用している場合は、Box 12にCode Wが表示されることがあります。
HSAは、条件を満たす医療保険に加入している人が利用できる、医療費向けの税制優遇口座です。
W-2を見て初めて、
「こんなにHSAへ入れていたんだ」
と気付く人もいるかもしれません。
HSAについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
👉 関連記事:初心者向け|HSAとは?アメリカの医療費を節税できる口座をわかりやすく解説
Code DD|健康保険のコスト
Code DDには、雇用主が提供する健康保険のコストが表示されることがあります。
この数字を見ると、
「こんなに大きな金額が書かれているけど、全部課税されるの?」
と心配になるかもしれません。
Code DDは、主に雇用主提供の医療保険コストを知らせるための情報です。
表示されている金額が、そのまま追加の課税所得になるという意味ではありません。
Box 13|Retirement Planにチェックが入っている?
Box 13にはいくつかのチェック欄があります。
その中で会社員が見ることが多いのが、
Retirement plan
です。
401(k)など勤務先の退職プランに参加している場合、ここにチェックが入っていることがあります。
このチェックは、IRAへの拠出をTax Returnでどのように扱えるかなどに関係する場合があります。
IRAについてはこちら。
👉 関連記事:アメリカのIRAとは?Traditional IRAとRoth IRAの違いを日本人向けにわかりやすく解説
Box 14|会社によって内容が違う
Box 14は少し特殊です。
会社が従業員へ伝えたい追加情報を書く欄なので、内容が会社によって違います。
例えば、
- 州独自の制度
- 組合費
- 一部の保険料
- その他の給与関連情報
などが表示される場合があります。
「この略語は何?」
と思った場合は、ネット検索だけで判断せず、勤務先のPayrollやHRへ確認するのが確実です。
Box 15〜17|州所得税
州所得税がある州で働いている場合は、Box 15〜17も確認します。
| Box | 内容 |
|---|---|
| Box 15 | 州名・州の雇用主番号 |
| Box 16 | 州税の対象になる給与 |
| Box 17 | 給与から引かれた州所得税 |
例えばBox 17に$2,500と書かれていれば、その年に給与から$2,500の州所得税が天引きされたということです。
一方、州所得税がない州では、これらが空欄になることもあります。
住んでいる州と働いている州が違う場合や、年の途中で引っ越した場合は、W-2に複数州の情報が表示されることもあります。
この場合は州ごとのTax Returnが必要になるケースがあるため、注意しましょう。
Box 18〜20|市や地域独自の税金
Box 18〜20はLocal Taxに関する情報です。
- Box 18:Local Taxの対象給与
- Box 19:天引きされたLocal Tax
- Box 20:市や地域の名前
地域によっては市や郡などの所得税がかかるため、この欄に数字が入ります。
該当しない人は空欄でも問題ありません。
W-2が届いたら、まずこの5つを確認
全部のBoxを細かく見る必要はありません。
W-2を受け取ったら、まず次の5点を確認してみましょう。
- 名前とSocial Security Numberが正しいか
- 前年に働いたすべての会社からW-2が届いているか
- Box 1の給与
- Box 2のFederal Income Tax
- Box 12とBox 15〜17に何が書かれているか
401(k)やHSAを使っている人はBox 12を少し丁寧に確認してください。
Pay StubとW-2の数字が違っていても慌てない
W-2を見て、
「自分が思っていた年収と違う」
と感じることがあります。
でも、
- Traditional 401(k)
- HSA
- 健康保険
- その他のPre-tax Benefit
などがあると、Gross PayとBox 1は一致しないことがあります。
まずは前年最後のPay StubのYTDと比べてみると分かりやすいです。
それでも、
「給与が大きく違う」
「Federal Taxの金額がおかしい」
「知らない会社名が書かれている」
など明らかな違和感がある場合は、Tax Returnを提出する前に勤務先へ確認しましょう。
W-2はTax Returnでどう使う?
Taxソフトを使って申告する場合は、基本的に画面の指示に従ってW-2を入力します。
例えば、
Box 1 → Box 1の数字
Box 2 → Box 2の数字
Box 12 → コードと金額
Box 17 → Box 17の数字
というように、そのまま入力します。
自分で数字を調整したり、丸めたりしない
のが基本です。
最近はW-2を撮影したり、勤務先のPayrollサービスから直接読み込んだりできるTaxソフトもあります。
ただし、自動入力された場合でも、最後にW-2の原本と数字が一致しているか確認しましょう。
W-2が届かない場合は?
勤務先からW-2が届かない場合は、まずPayrollまたはHRへ確認しましょう。
転職後に住所変更をしている場合、
以前の住所へ送られている
ケースもあります。
会社によっては、
- ADP
- Workday
- Paychex
- その他のPayrollシステム
などからオンラインでダウンロードできる場合もあります。
まず勤務先のEmployee Portalも確認してみましょう。
W-2に間違いがあったら?
名前、SSN、給与、税金などに間違いがあると思った場合は、勤務先へ連絡します。
修正が必要な場合は、通常W-2cという修正版が使われます。
自分でW-2を書き換えて申告するのではなく、まず会社に確認しましょう。
まとめ|最初はBox 1・2・12・15〜17を見ればOK
W-2にはたくさんのBoxがありますが、最初からすべて覚える必要はありません。
まずは、
Box 1
→ Federal Income Taxの対象になる給与
Box 2
→ 給与からすでに引かれたFederal Income Tax
Box 12
→ 401(k)やHSAなどの情報
Box 15〜17
→ 州所得税の情報
この4つを押さえれば、かなり分かりやすくなります。
そしてTax Returnでは、
W-2に書かれている数字を正確に入力する
ことが基本です。
W-2を受け取ったら、すぐにしまい込まず、一度Pay Stubと見比べてみることをおすすめします。
「毎回の給料から何が引かれていたのか」が、年間の数字として見えてくるので、アメリカの税金や福利厚生の仕組みも理解しやすくなります。
次は、そのW-2を使ってTax Returnを行います。

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