アメリカのW-2の見方|Box 1〜20を初心者向けにわかりやすく解説

アメリカで会社員として働いていると、年が明けてから勤務先から「W-2」という書類が届きます。

初めて見ると、

「数字がたくさん並んでいて、どこを見ればいいの?」

「Pay Stubとは何が違うの?」

「Tax Returnでは、どの数字を使うの?」

と戸惑うかもしれません。

でも、すべてのBoxを細かく理解する必要はありません。

まず押さえたいのは、

  • Box 1:税金計算のもとになる給与
  • Box 2:すでに給与から引かれた連邦所得税
  • Box 12:401(k)やHSAなどの情報
  • Box 15〜17:州税の情報

このあたりです。

W-2は、日本でいう「源泉徴収票」に近い書類です。

Tax Returnでは、基本的にW-2に書かれている数字をそのままTaxソフトへ入力していきます。


アメリカのW-2とは?

W-2の正式名称は「Form W-2, Wage and Tax Statement」です。

簡単にいうと、

「この会社から1年間いくら給料をもらい、税金をいくら天引きされたか」

をまとめた書類です。

会社員として働いている人なら、基本的に勤務先から発行されます。

会社を年の途中で転職した場合は、勤務した会社ごとにW-2を受け取ることがあります。

例えば、

1月〜6月:A社
7月〜12月:B社

で働いた場合、A社とB社の両方からW-2を受け取る可能性があります。

Tax Returnでは、すべてのW-2を申告します。

👉 関連記事:アメリカの確定申告(Tax Return)とは?在米日本人向けにやり方・期限・必要書類を解説


Pay StubとW-2は何が違う?

ここは最初に理解しておくと分かりやすいです。

Pay Stub=毎回の給料明細

W-2=1年間の給与と税金をまとめた書類

です。

例えば、2週間ごとに給料をもらっている場合、1年間で何枚ものPay Stubを受け取ります。

W-2は、それらを年間単位でまとめたイメージです。

ただし、401(k)や健康保険など税引前の控除があるため、

Pay StubのGross Payを単純に合計した数字とW-2のBox 1が一致しない

こともあります。

これは必ずしも間違いではありません。

👉 関連記事:アメリカの給料明細の見方|Gross Pay・Net Pay・税金・401(k)を初心者向けに解説


W-2を受け取ったら、まず名前とSSNを確認

W-2の上の部分には、自分と勤務先の情報が書かれています。

主に確認したいのは、

  • 自分の名前
  • Social Security Number
  • 住所
  • 会社名
  • 会社のEIN

です。

特に名前とSocial Security Numberは重要です。

間違いがあった場合は、そのまま自己判断で数字を直してTax Returnをするのではなく、まず勤務先のPayrollやHRへ確認しましょう。

必要に応じて、修正版のW-2(W-2c)が発行されます。


Box 1|税金計算のもとになる給与

Box 1には、

Wages, tips, other compensation

と書かれています。

簡単にいうと、連邦所得税を計算するときに使われる給与です。

ここはTax Returnで特に重要な数字です。

年収とBox 1が違っていてもおかしくない

例えば、

年収:$80,000
Traditional 401(k)への拠出:$5,000

だったとします。

この場合、Box 1が単純に$80,000になるとは限りません。

Traditional 401(k)など、税引前で給与から差し引かれるものがあるためです。

つまり、

Box 1=会社からもらった総額

とは限りません。

「年収と数字が違う!」

と慌てる必要はありません。

401(k)についてはこちらで詳しく解説しています。

👉 関連記事:アメリカの401(k)とは?日本人向けに仕組み・会社マッチ・帰国時の扱いまでわかりやすく解説


Box 2|すでに払った連邦所得税

Box 2は、

Federal income tax withheld

です。

これは1年間に給料から天引きされた連邦所得税の合計です。

例えば、

Box 2:$7,000

なら、その年に給与から$7,000のFederal Income Taxがすでに引かれたということです。

Tax Returnでは、年間の最終的な税額を計算し、この源泉徴収額などと精算します。

払いすぎていればRefund(還付)になる可能性があり、不足していれば追加で税金を払うことがあります。

そのため、

Box 2が大きい=税金を損している

とは限りません。

最終的にはTax Returnで確認します。

👉 関連記事:アメリカの確定申告(Tax Return)とは?在米日本人向けにやり方・期限・必要書類を解説


Box 3・4|Social Security

Box 3は、

Social Security Wages

です。

Social Security Taxの対象になった給与が書かれています。

Box 4は、

Social Security Taxとして実際に給料から引かれた金額

です。

Box 1とBox 3の数字が違うことがありますが、それだけで間違いとは限りません。

例えば、Traditional 401(k)への拠出はBox 1を減らしても、Social Security Taxの計算では扱いが異なる場合があります。

Social Securityは将来の退職給付などにつながる制度です。

日本へ帰国した後のSocial Securityについてはこちらで詳しく説明しています。

👉 関連記事:日本帰国後もアメリカのSocial Securityは受け取れる?受給条件・税金・注意点を解説


Box 5・6|Medicare

Box 5は、

Medicare Wages and Tips

です。

Medicare Taxの対象になった給与が書かれています。

Box 6は、

給与から引かれたMedicare Tax

です。

ここもBox 1と同じ数字になるとは限りません。

Taxソフトを使う場合は、W-2に書かれている数字をそのまま入力するのが基本です。

自分で計算し直す必要は通常ありません。


Box 7〜11|多くの人は空欄でも問題なし

Box 7〜11は、該当する人だけ数字が入ることが多い欄です。

例えば、

  • Box 7:会社へ報告したチップ
  • Box 8:Allocated Tips(会社側が割り当てたチップ)
  • Box 10:Dependent Care Benefit(子どもや扶養家族のケア費用に使える福利厚生)
  • Box 11:一部のNonqualified Plan(会社が一部の従業員向けに用意する、一般的な401(k)とは別の報酬・退職金制度)

などです。

レストランなどでチップを受け取っている人は、Box 7や8を確認しておきましょう。

一方、一般的な会社員では空欄になっているBoxも珍しくありません。

空欄だから問題がある、という意味ではありません。


Box 12|401(k)やHSAなどを見る重要な場所

初心者にとって少し分かりにくいのがBox 12です。

ここには、

アルファベットのコード+金額

が書かれています。

例えば、

D $6,000

のような形です。

コードによって意味が違います。

代表的なものは次のとおりです。

Code 主な意味
D Traditional 401(k)などへの給与天引き拠出
AA Roth 401(k)への拠出
W HSAへの一定の拠出
DD 雇用主提供の医療保険コスト

すべてのコードを暗記する必要はありません。

自分のW-2に表示されているコードだけ確認すれば十分です。


Code D|401(k)への拠出

Box 12にCode Dがある場合、401(k)への給与天引き拠出が記録されています。

例えば、

D $5,000

なら、その年に対象となる401(k)へ$5,000拠出したことを表します。

重要なのは、この$5,000を見て、

「Tax Returnでもう一度$5,000を控除しよう」

としないことです。

Traditional 401(k)への給与天引き拠出は、通常すでにW-2の給与計算に反映されています。

401(k)について詳しく知りたい方はこちら。

👉 関連記事:アメリカの401(k)とは?日本人向けに仕組み・会社マッチ・帰国時の扱いまでわかりやすく解説


Code W|HSAを使っている人は確認

HSAを利用している場合は、Box 12にCode Wが表示されることがあります。

HSAは、条件を満たす医療保険に加入している人が利用できる、医療費向けの税制優遇口座です。

W-2を見て初めて、

「こんなにHSAへ入れていたんだ」

と気付く人もいるかもしれません。

HSAについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

👉 関連記事:初心者向け|HSAとは?アメリカの医療費を節税できる口座をわかりやすく解説


Code DD|健康保険のコスト

Code DDには、雇用主が提供する健康保険のコストが表示されることがあります。

この数字を見ると、

「こんなに大きな金額が書かれているけど、全部課税されるの?」

と心配になるかもしれません。

Code DDは、主に雇用主提供の医療保険コストを知らせるための情報です。

表示されている金額が、そのまま追加の課税所得になるという意味ではありません。


Box 13|Retirement Planにチェックが入っている?

Box 13にはいくつかのチェック欄があります。

その中で会社員が見ることが多いのが、

Retirement plan

です。

401(k)など勤務先の退職プランに参加している場合、ここにチェックが入っていることがあります。

このチェックは、IRAへの拠出をTax Returnでどのように扱えるかなどに関係する場合があります。

IRAについてはこちら。

👉 関連記事:アメリカのIRAとは?Traditional IRAとRoth IRAの違いを日本人向けにわかりやすく解説


Box 14|会社によって内容が違う

Box 14は少し特殊です。

会社が従業員へ伝えたい追加情報を書く欄なので、内容が会社によって違います。

例えば、

  • 州独自の制度
  • 組合費
  • 一部の保険料
  • その他の給与関連情報

などが表示される場合があります。

「この略語は何?」

と思った場合は、ネット検索だけで判断せず、勤務先のPayrollやHRへ確認するのが確実です。


Box 15〜17|州所得税

州所得税がある州で働いている場合は、Box 15〜17も確認します。

Box 内容
Box 15 州名・州の雇用主番号
Box 16 州税の対象になる給与
Box 17 給与から引かれた州所得税

例えばBox 17に$2,500と書かれていれば、その年に給与から$2,500の州所得税が天引きされたということです。

一方、州所得税がない州では、これらが空欄になることもあります。

住んでいる州と働いている州が違う場合や、年の途中で引っ越した場合は、W-2に複数州の情報が表示されることもあります。

この場合は州ごとのTax Returnが必要になるケースがあるため、注意しましょう。


Box 18〜20|市や地域独自の税金

Box 18〜20はLocal Taxに関する情報です。

  • Box 18:Local Taxの対象給与
  • Box 19:天引きされたLocal Tax
  • Box 20:市や地域の名前

地域によっては市や郡などの所得税がかかるため、この欄に数字が入ります。

該当しない人は空欄でも問題ありません。


W-2が届いたら、まずこの5つを確認

全部のBoxを細かく見る必要はありません。

W-2を受け取ったら、まず次の5点を確認してみましょう。

  1. 名前とSocial Security Numberが正しいか
  2. 前年に働いたすべての会社からW-2が届いているか
  3. Box 1の給与
  4. Box 2のFederal Income Tax
  5. Box 12とBox 15〜17に何が書かれているか

401(k)やHSAを使っている人はBox 12を少し丁寧に確認してください。


Pay StubとW-2の数字が違っていても慌てない

W-2を見て、

「自分が思っていた年収と違う」

と感じることがあります。

でも、

  • Traditional 401(k)
  • HSA
  • 健康保険
  • その他のPre-tax Benefit

などがあると、Gross PayとBox 1は一致しないことがあります。

まずは前年最後のPay StubのYTDと比べてみると分かりやすいです。

それでも、

「給与が大きく違う」

「Federal Taxの金額がおかしい」

「知らない会社名が書かれている」

など明らかな違和感がある場合は、Tax Returnを提出する前に勤務先へ確認しましょう。


W-2はTax Returnでどう使う?

Taxソフトを使って申告する場合は、基本的に画面の指示に従ってW-2を入力します。

例えば、

Box 1 → Box 1の数字
Box 2 → Box 2の数字
Box 12 → コードと金額
Box 17 → Box 17の数字

というように、そのまま入力します。

自分で数字を調整したり、丸めたりしない

のが基本です。

最近はW-2を撮影したり、勤務先のPayrollサービスから直接読み込んだりできるTaxソフトもあります。

ただし、自動入力された場合でも、最後にW-2の原本と数字が一致しているか確認しましょう。


W-2が届かない場合は?

勤務先からW-2が届かない場合は、まずPayrollまたはHRへ確認しましょう。

転職後に住所変更をしている場合、

以前の住所へ送られている

ケースもあります。

会社によっては、

  • ADP
  • Workday
  • Paychex
  • その他のPayrollシステム

などからオンラインでダウンロードできる場合もあります。

まず勤務先のEmployee Portalも確認してみましょう。


W-2に間違いがあったら?

名前、SSN、給与、税金などに間違いがあると思った場合は、勤務先へ連絡します。

修正が必要な場合は、通常W-2cという修正版が使われます。

自分でW-2を書き換えて申告するのではなく、まず会社に確認しましょう。


まとめ|最初はBox 1・2・12・15〜17を見ればOK

W-2にはたくさんのBoxがありますが、最初からすべて覚える必要はありません。

まずは、

Box 1
→ Federal Income Taxの対象になる給与

Box 2
→ 給与からすでに引かれたFederal Income Tax

Box 12
→ 401(k)やHSAなどの情報

Box 15〜17
→ 州所得税の情報

この4つを押さえれば、かなり分かりやすくなります。

そしてTax Returnでは、

W-2に書かれている数字を正確に入力する

ことが基本です。

W-2を受け取ったら、すぐにしまい込まず、一度Pay Stubと見比べてみることをおすすめします。

「毎回の給料から何が引かれていたのか」が、年間の数字として見えてくるので、アメリカの税金や福利厚生の仕組みも理解しやすくなります。

次は、そのW-2を使ってTax Returnを行います。

👉 関連記事:アメリカの確定申告(Tax Return)とは?在米日本人向けにやり方・期限・必要書類を解説

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